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複雑系運動学・量子生物学を主に研究。リハビリやスポーツ競技者のパフォーマンス向上へ応用実践しています。くるみ鍼灸治療院

3)シナジェティクスと運動制御

■脳と身体のダイナミクス
3)シナジェティクスと運動制御
 
ドイツのハーケンはシナジェティクスと呼ばれる自己組織に関する体系を構築しました。
シナジェティクスとは、システムを構築する多数の要素相互作用を通じて、全体としての秩序を生み出す協力現象の理論として提案されたものです。
 
ハーケンが特に強調したのはスレイビング原理と呼ばれるものです。この原理は、速い変化をする過程と遅い変化をする過程が相互作用しながら同時に進行している時、系全体のふるまいは遅い変化をする変数だけで決まるというものです。これを「秩序変数」と呼びます。
 
このことは、大自由度系が少数自由度の秩序変数の方程式で表現できることを意味しています。
 
さらに、秩序変数の方程式に含まれる「制御パラメーター」を変化させると、非平衡相転移と呼ばれるパターン変化がしばしば生じます。
 
つまり、制御パラメーターを変化させるだけで、さまざまなパターンの自己組織が起こるという一般的な機構を提案しました。
 
しかし、カオス力学系などの振る舞いを考えると、それほど一般性をもっているとはいえません。また、発達の問題にそのままの形で適応できるかどうか疑問と言われています。
 
そのためシステムをデザインするという研究が生まれました。
 
次回は生体における動的協力性についてご紹介します。